今回は、マンションの売却を考える際に多くの人が利用するマンションの価格査定に焦点を当ててみようと思います。査定をお願いして提示された額でマンションを売却できると思っている人も多いようですが、果たしてそうなのでしょうか?マンションの査定を依頼してから成約に至るまでにはどのような流れになるのかをご説明するとともに、査定に便利な一括査定サイトについても掘り下げてみようと思います。
1マンションを売却する時の見積もり(査定)はどうなる?
マンションの査定を依頼する上で、初めに決めなければならないのが査定の依頼先です。どこにお願いするかによって、査定の結果は変わってくるのでしょうか。査定の依頼先別に考えてみようと思いますが、その前に不動産の査定方法について簡単に説明いたします。
一般的に不動産の査定には、原価法、収益還元法、取引事例比較法の3つの方法が用いられます。
原価法とは、同じ物件を建て直すとすると、どの程度の費用が掛かるのかということを基準に考えます。収益還元法は、おもに賃貸物件などの収益不動産に対して用いられる計算方法。
その物件を賃貸したら将来どの程度の収益を生み出すかを考慮した評価方法です。そして、取引事例比較法は、過去に取引された類似物件を参考にして不動産の価値を評価するものです。
・大手不動産会社
自宅マンションなど収益を目的としない不動産の査定を大手不動産会社に依頼する場合、取引事例比較法を用いて査定価格を算出するのが一般的です。その際に参考にされるのが、過去の取引事例、基準地価、路線価のなど。また、より詳しい査定価格を知りたいときは、訪問査定を依頼することになります。訪問査定を依頼することで、最寄り駅からの距離や立地条件、周辺環境、眺望、マンションのグレード、使用状況などを考慮した、より詳細な査定価格を算出してもらえるようになります。
・個人経営の町の不動産会社
会社の大小にかかわらず、マンションの査定は取引事例比較法を用いて評価が行われることになります。それは、個人経営の小さな町の不動産会社であっても変わりません。ただ、地域密着の不動産会社は、地元の人と強いつながりを持っていることも少なくなく、市場に流通していない貴重な情報を握っていることがあります。仲介をお願いした場合は、地元客のマッチングに期待することもできるでしょう。
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・一括査定サービス
車の一括査定と同様、一度に複数の不動産会社に査定を依頼できるというのがマンションの一括査定サービス。
サイトの専用フォームに入力した情報は、一括査定サービスを提供するサイトを通して提携する複数の不動産会社に送られます。
利用者はそれぞれの会社から送られてくる査定結果を待つのみ。自分で複数の会社に査定を依頼するとなると、それぞれの会社と連絡を取る必要があります。ところが、一括査定サービスを利用すればその煩わしさがなくなります。利用者から情報を得た不動産会社は、過去の取引事例などを元にマンションの査定を行うことになります。
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2不動産屋ごとに見積もりは違う?
どの会社にお願いしても、マンションの査定価格は同じなのでしょうか。もしそうであれば一括査定をする必要などありませんよね。会社ごとに参考にする制約事例やデータが異なるため、不動産会社によってマンションの査定価格もさまざまということになります。さらに言うと、同じ会社にお願いしたとしても、査定する人が異なれば主観の差が査定結果に反映されることもあるため、査定結果は担当者によっても異なる場合も。
また、会社ごとの営業スタイルの違いが会社間の査定価格に差を生む要因になることもあります。一般的にマンションの査定価格は、3ヶ月以内で売却できるということを目安にして決められます。ところが、まずチャレンジ価格を設定し、その後サイトの閲覧状況や問合せの状況に応じて販売価格を調整しながら、なるべく高い価格での制約を狙うスタイルの会社もあります。前者のようなスピードと確実性を重視した会社に比べると、成約価格を重視した後者の会社は、より高額な査定価格を提示してくることでしょう。
注意が必要なのは、「査定価格=売却価格」ではないこと。
査定価格に一喜一憂してはいけません。査定価格は販売価格を決める際の目安とすべきもの。中には高い査定価格を提示して、媒介契約を結んでもらおうとする会社もあります。
また、不動産会社はできれば買い手からも仲介手数料を受け取りたいもの。査定の依頼を受けたマンションを自社が抱える顧客に販売しようと考えるのはごく自然な考え方です。
そのように考える不動産会社に査定を依頼した場合は、反対に相場より低い査定価格を提示することも考えられます。マンションの査定価格には、こうした会社の思惑が反映されることもあります。
このように、相場からかい離した査定価格を提示する不動産会社に惑わされないようにすることが大切です。そのためにはインターネットなどを通して、常にマンション価格などの情報に触れていることが効果的です。そうすることで自然と相場観が養われていきます。
3一括査定をする方が得!
ここで、マンションの一括査定について、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。
一括査定とは、サービスを提供するウェブサイト上のフォームに物件情報を入力すると、不動産会社から査定結果が届くという仕組み。このようなサービスを提供するサイトは複数存在しますが、どのサイトも仕組みや査定を依頼する際の要領は同じで、マンションの他、一戸建てや土地などの査定も依頼することができます。
サイト上のフォームに住所や専有面積などを入力。査定を行う不動産会社が複数表示されるので、その中から査定を依頼したい会社を選択します。その後、メールや電話、郵送などで、査定を依頼した会社から査定結果が通知されます。
このように、一括査定はフォームに情報を入力して送信すれば、一度に複数の会社に査定を依頼することができて、手間もかからず大変便利なサービスです。また、利用料も無料なので手軽に利用することができます。
一括査定の結果はフォームに入力した情報のみを元に算出されたもので、より正確な査定結果を知るためには訪問査定が必要になります。
一括査定で売却価格の目安を把握したら、訪問査定をお願いするようにしましょう。
一括査定を依頼したすべての会社に訪問査定を依頼すると対応が大変なので、訪問査定をお願いする際は会社を絞る必要があります。一括査定の結果や担当者との相性、査定結果の根拠などを元に検討し、信頼がおけそうな数社に訪問査定の依頼をすることをおすすめします。
一括査定では査定価格よりも、各不動産会社の特色や、担当者の人間性、スキル、会社の営業スタンス、特色などを把握することに重点を置くようにしましょう。
一括査定をしたにもかかわらず、他社と比較することなく最初に査定結果を提示してきた会社と媒介契約を結んでしまう人がいます。それでは、一括査定を依頼した意味がありません。複数の会社を比較検討した上で、媒介契約は結ぶようにしましょう。
4一括見積(査定)をする際にお得なサイト
次に、査定を依頼する際に押さえておきたい会社とその特徴について説明いたしましょう。
・ソニー不動産
ソニー不動産の特徴は、売主のみを担当し高値での売却を追求することと、仲介手数料の割引制度があること。
ソニー不動産のように売主のみを担当する会社に対しては、両手契約狙いや物件の囲い込み、物件隠しの心配をする必要がありません。
買い手からの手数料も期待する両手仲介を行う会社は、売り手と買い手の相反する利益を代表する立場に立つことになります。買い手の利益も追及した場合、売り手に対して値下げの提案をしてくることも考えられます。
ところが、ソニー不動産のように両手仲介を行わない会社は買い手の利益を考える必要がありません。そのため、値下げなど買い手の利益となる提案を受ける心配がありません。
また、両手契約を狙っている会社の中には、他社に物件情報を流さずに自社で買い手を見つけようとする会社も。そのような売り手の利益をないがしろにするような会社には、物件の囲い込みや物件隠しなどの懸念も生じますが、両手仲介を行わないソニー不動産では、そうした心配もありません。この両手仲介を行わないことが、ソニー不動産最大の特徴といえます。
ソニー不動産がサービスを提供しているのは、東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県のみ。地域が限定されています。該当する地域にお住いの人は、査定を依頼してみてはいかがでしょうか。
・リガイド(旧SBI)不動産
金融・証券業でも有名なSBIグループの一員としてサービスを開始した一括査定サービス。現在はSBIグループから独立して、リガイド不動産として運営しています。リガイド不動産の特徴は、提携する400社を超える不動産会社の中から、マッチングする数社をピックアップ。その中から最大10社に対し査定を依頼できる点にあります。提携する不動産会社には、大手はもちろんのこと中小まで幅広いラインナップが揃っています。不動産売却に必要な知識をコラム形式で解説した「売却必勝法」など、有益な情報も多く提供しています。将来の売却を見据えて、こうした情報に目を通してみるのも良いのではないでしょうか。
・イエイ不動産
業界最多、約1,000社を対象に最短60秒で一括査定を行うことができるのが、イエイ不動産です。
イエイ不動産では、最大6社の査定額を比較することができます。また、24時間対応のサポートデスクが用意されているため、疑問点や不動産会社には聞きづらいことを相談することができます。
「査定額を知りたいだけなのに、一括査定を行うと会社からしつこく連絡が来るのでは?」と思う人も多いと思います。
そうした人も安心して利用できるよう、イエイ不動産には「断り代行サービス」が用意されています。また、会社からのしつこい営業を防ぐために「イエローカード制度」を用意。悪徳な不動産業者はサイトから排除されるような仕組みを作っています。
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・マンションナビ
年間利用者360万人を誇る一括査定サイトで、その名の通りマンション取引に特化したサービスを特徴とするサイトです。そ
のため、マンションのことなら何でも相談可能。売却以外にも買取りや賃貸する際の賃料査定などを行うこともできます。一度に最大9社の査定結果を比較でき、マンション取引を得意とする500社を超える提携会社の豊富さも魅力です。「売却すべきか?それとも賃貸に出すべきか?」といった悩みにも答えてくれる、マンション取引きに関するスペシャリストです。
マンションナビの一括査定の流れとシステム
5マンション査定は自動オンラインで無料で匿名で行える
先述のとおり、マンションの査定を匿名で行うことができるサービスも提供されています。「自宅の査定額を知りたいものの、一括査定を利用すると会社からの連絡や勧誘に対応するのが面倒」。
そのように感じる人におすすめなのが匿名での査定サービスです。匿名での査定なら、自分が情報を提供しない限りは不動産会社から連絡を受ける心配もありません。
ネクストが運営する「HOME’S不動産売買」では、匿名でマンションの価格査定を依頼できるサービスの提供を開始しました。サイト上のフォームに、間取り、専有面積、所在階、築年数などを入力し送信すると、既存の一括査定と同様、複数の会社に査定依頼が一斉に送信されます。その後、各不動産会社から専用ページに査定価格と共に売却実績などの会社情報が届きます。そして、依頼者は希望する会社にのみ個人情報を通知するという仕組みです。無料でサービスを利用することができるのも、利用者にとっては嬉しいポイントですね。
家を売る時の査定は匿名で行える?
6マンション査定をざっくり簡易で計算する方法
おおよそのマンション価格ならば、査定を依頼することなく計算することもできます。
簡易的なマンション価格の計算をサポートするウェブサイトがあり、このようなサイトを利用すればマンションの価格は簡単に計算することができます。
交通の利便性や周辺環境、眺望、築年数などを専用フォームに入力し、査定したいマンション自体の価値をポイントに換算します。次に、比較対象として過去に取引されたマンションの条件をフォームに入力し、同様にポイント換算します。
ここで、査定対象のマンションと条件の近いマンションを、比較対象として選ぶことが重要です。ポイント換算に利用したフォームとは別に、査定結果を計算する箇所があるはずなので、そこに査定対象のマンションのポイントと専有面積を入力します。
続いて比較対象のマンションのポイントと専有面積、成約価格を入力して「計算」ボタンをクリックすれば、査定対象のマンション価格が表示されます。
マンション価格の簡易計算は、次にご紹介するサイトで行うことができます。
http://www.chousadan.jp/keisan/framepage-m2.htm
http://www.e-bukken.co.jp/ebukken/mansyon.satei.htm
7安く査定された?見積もりの評価はどういう点を見られる?
次に、査定に影響を与えるポイントをご紹介します。査定価格が期待よりも安かったというマンションは、これらのポイントが査定にマイナスしたことも考えられます。
・最寄り駅からの距離や交通の利便性
・立地条件
・眺望・方角・階数
・築年数・グレード
・メンテナンス・セキュリティー
・部屋の使用状況
移動手段として車を用いる地方とは違って、最寄り駅までの距離や最寄り駅に乗り入れる路線の数などの利便性などが、マンションの査定価格には反映されます。また、徒歩圏にあるスーパーの数やファミリー向けの物件の場合、子供の学校までの距離や公園の数などが査定結果に影響を与えます。
分譲時同様、中古でも高層階に行くほどマンションの資産価値は高くなりますし、眺望などの付加価値も査定価格に反映されます。以前に比べると南向き信仰は減ったものの、南向きの部屋はプラス査定につながります。
査定においては、メンテナンスの状況やセキュリティーなども重要な要素です。管理組合主導で定期的なメンテナンスが行われているマンションや、計画的に大規模修繕を実施しているマンションなどは高額査定につながります。また、管理人が常駐しているなど、セキュリティー面に配慮しているマンションでも、高額な査定結果が得られやすいでしょう。
子供がいる場合、襖や障子、壁に穴があいていたり、クロスが剥がれていたりする家庭も少なくないことでしょう。そのような破損箇所は、マイナス査定につながってしまいます。
8マイナス面はどんなところ?
一括査定を依頼すると、会社からのしつこい電話に悩まされることが考えられます。
この点が、一括査定の最大のデメリットではないでしょうか。同時に複数社に査定を依頼する一括査定サービスでは、競合他社より先に連絡をしようという競争意識がサイトに登録している会社間で働きます。
そのため、依頼してから連絡を受けるまでの時間は短いものの、複数の会社からのとめどない連絡に悩まされることも。最近は、ご紹介したような匿名で査定を依頼できるサイトもあります。一括査定後の会社からの連絡が心配な人は、こうした匿名で査定依頼ができるサイトを利用するのもよいのではないでしょうか。
9見積もりをする前に掃除や大規模修繕をするべきか
既にマンションを売りに出しているマンションの内覧を考えれば、家中を磨き上げて内覧に来るお客さんに好印象を抱いてもらうようにすべきでしょう。
果たして、同じことがマンションの価格査定でもいえるのでしょうか?
内覧のプレゼン相手は購入希望者ということになります。それに対して、査定のプレゼン相手はマンションの売却を手伝ってもらう不動産会社です。相手が違ければ、当然見るポイントも違うということになります。
掃除は普段行う程度のもので十分でしょう。
査定の段階では修繕も必要ないと考えられます。なぜなら、前述のとおり、査定は担当者の人柄や会社の営業スタンス、特徴などを把握したり、売却価格の目安を把握したりする目的で用いるもの。
査定価格自体はさほど重要ではありません。
修繕は売却することを決めた後でも間に合うので、査定の段階では必要ありません。
クロス、襖、壁などの破損があるようなら、それらの箇所は補修してもよいでしょう。自分好みにリフォームすること望む買い手も多く、そのような買い手はむしろ現況での引き渡しを望むものです。大がかりなリフォームは、むしろ買い手に任せるようにした方がよいでしょう。
10見積もりに固定資産税どう影響する?
土地に課せられる固定資産税は「路線価」というものを元にして計算されます。
路線価は都市部ほど高く、逆に地方に行けば路線価は低くなります。また同じ地域で比べても、路線価は利便性が高い駅近ほど高く、利便性が低い駅から離れた地域では低くなります。つまり、土地に関しては「路線価が高い=値段が高い」という関係が成り立つわけです。これは「固定資産税が高い=値段が高い」と同じことですので、マンションの固定資産税と査定価格はある程度比例するといえるでしょう。正確には査定価格が固定資産税の影響を受けるというよりも、高い固定資産税が課せられるマンションの査定価格は必然的に高くなるといえます。
11見積もりをする際の注意点
例えば、リフォーム費用の一括見積りサイトでは、利用者は安い費用でリフォームを請け負ってくれる業者を探すことができます。リフォームの一括見積を利用するメリットはそこにあります。ところが、マンションの一括査定では少々話が違ってきます。一括査定で、最も高い査定額を提示した不動産会社がその価格でマンションを売却してくれますか?必ずしもそうではありませんよね。つまり、繰り返しになりますが査定価格は売却価格の目安にこそなれ、売却価格をコミットするものではないということに注意しましょう。
先述した、媒介契約を獲得しようと高額の査定価格を提示する不動産会社の例を考えてみましょう。
高額の査定価格を提示する会社が後を絶たないことには、一括査定サイトの運用の仕組みにも原因があるようです。一括査定サイトに登録した不動産会社は、見積もりを受けるたびに一括査定サイトに一定の料金を支払うシステムになっています。つまり、査定は依頼されるものの一向に媒介契約に結び付かないようでは、一括査定サイトに登録した不動産会社は全く儲かりません。
そこで不動産会社は、依頼者の目を引こうとして高額の査定結果を提示し、媒介契約に結びつけようとするわけです。もちろん、一括査定サイトに登録しているすべての不動産会社が、そのような査定方法をとっているわけではありません。だからこそ、一括見積サイトを利用する際は、複数の査定結果を比較検討することが重要になるのです。
高額な査定結果を提示する業者がいるということは、実際の売却価格は査定額より低くなるケースも多いということです。売主にとっては、査定価格を信じてマンションを売りに出したものの期待したほど高く売れなかったということにもなり兼ねません。
くどいようですが、査定価格は実際に売れる価格とは違います。そこを勘違いしないようにしましょう。不動産会社は売主に対して有利誤認を与えるような査定結果を提示することが多々ありますが、それを取り締まる制度が整備されていません。公正取引委員会が取り締まることができるのは、買い手に対して与えられる有利誤認であって、売り手に対して与えられる有利誤認の規制は必ずしも厳しくありません。そのような目に遭わないためには、自分自身のマンションの相場観の精度を挙げることが大切です。
また、複数の査定結果を比較して、明らかに高かったり安かったりする結果を除外して考えることも有効でしょう。
12買取保証をつけてもらった方がいい?
まずは、買取保証という制度について説明いたします。業者が設定した期間内に買主を見つけることができない場合、業者がそのマンションを買い取るという制度があります。
これを買取保証(売却保証)といいます。どのようなマンションでも無条件に買い取ってくれるわけではなく、買い取ってもらうためにはさまざまな条件を満たさなければなりません。
買取保証のメリットは、買い手が見つからなくてもマンションが絶対に売れることにあります。
売り手はマンションが売れなかった場合の心配をする必要がありません。マンションの売却を考える上で、地域によっては買い手を見つけるのが困難な地域もあります。
立地や住環境によっては長期間買い手が見つからないことも珍しくないため、こうした状況では確実に売却を実現できる頼もしい制度といえるでしょう。また、仲介会社が買主となる買取保証では仲介手数料が発生しません。これもメリットのひとつです。
メリットがある一方で、買取保証にはデメリットも存在します。
それは買取りの値段。買取りの値段は売出し価格の80~90%程度。早期の売却を目指して相場より安い売出し価格を設定していたような場合は、さらに安い値段での買取りになってしまうことも考えられます。
相場より安い売出し価格で物件の売却を依頼した場合、むしろその物件を買い取りたいと考える不動産会社がいてもおかしくありません。そのような場合は売却活動を真剣に行わないことも懸念されます。
不動産会社に買取りを依頼すると、なぜ売出し価格より安い価格での買取りになってしまうのでしょう。
不動産会社が買い取った物件は、リフォームやリノベーションなどをして付加価値をつけて販売されるのが一般的です。その分、安い価格で買取られてしまうことになります。
リフォームした家は高く売れるの?
買取保証制度の内容は業者によってさまざまです。最初に買取保証制度を始めた東急リバブルを例に挙げると、査定価格の90%で買取りを行ってくれるものの、次のような条件を満たす必要があります。
・専属専任媒介契約または専任媒介契約を結ぶこと
・専有面積が30㎡以上であること
・昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた、つまり新耐震基準を満たすマンションであること
このように、買取保証制度にはメリットとデメリットが存在します。この両面を見極めたうえで利用するかどうかの判断することが大切ではないでしょうか。