家を売る時には、売買契約締結前に買主から「手付金」を預かります。この手付金は、実は重要なお金になるので、売買契約締結までにその役割を理解しておきましょう。
1.手付金はどのくらい払うの?
一般的には、手付金額は物件価格の5%~10%程度です。宅地建物取引業法上は、手付金は「物件価格の20%以内」と定められていますが、20%で設定することは少ないです。理由としては、単純に買主はそこまで高額な金額を売主に預け入れたくないと思うからです。
そもそも手付金とは、買主から売主に預け入れる金額です。たとえば、以下のような資金計画で物件を売買するとします。
・物件価格3,300万円
・頭金800万円
・住宅ローン2,500万円
このとき、3,300万円の10%である330万円を手付金額に設定したとします。そのとき、買主はこの手付金330万円を売買契約締結までに、売主の口座に振り込むか現金で支払います。ただ、この金額はあくまで買主に預け入れる金額なので、頭金である800万円に充当されるお金なのです。
このように頭金が多い場合には、手付金が20%でも大きな問題はありません。この場合の「手付金20%」とは660万円(3,300万円×20%)になるので、そのまま頭金に充当できるからです。
しかし、仮に頭金が800万円でなく200万円であれば、手付金20%である余剰金430万円(660万円-200万円)は、売主から買主に返還されます。むしろ、このような場合には、売主も返還するのは面倒なので頭金の200万円を手付金として設定する場合が多いです。そのため、一般的に手付金額が売却金額の20%になることは少ないのです。
2.手付金の種類
手付金には大きく分けて「解約手付」「違約手付」「証約手付」の3種類があります。
解約手付とは、売主と買主がお互い「解約できる」という条件を「手付金をどうするか」で合意している手付金のことです。一般的には以下の内容で合意しています。
・買主の自己都合での解約は手付金没収
・売主の自己都合での解約は手付金を返還し手付金額と同額を支払い
つまり、売主も買主も手付金額を支払うことで、お互いの意思によって契約解除ができるのです。
一方、「違約手付」とは、自らの意思で解約するのではなく、違約による強制解約の場合です。たとえば、「残債金を支払わない」などは違約による強制解約に該当します。このようなときにも、解約手付と同様に手付金の支払いが発生する上に、別途「違約金」が発生します。
最後の「証約手付」とは、違約手付とほぼ同じです。ただ、違約手付は「違約金額」を定めているのに対して、「証約手付」は違約金額の規定はありません。そのため、予想以上に違約金がかかる場合もあります。
不動産の売買においては、手付金は「解約手付」の役割を担います。
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