個人事業主に必要な収入証明と所得証明は確定申告書にすべき

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近年、個人事業主として働いている方の数が増えましたよね。
昔は個人事業主より「会社員のほうがいいよ」という価値観が定着していましたが、時代は変わり進んで個人事業主として働く道を選択する方が増えています。

時間に融通が利き、マイペースなイメージがありつつ。個人事業主は賃貸契約の際に不利になったり、融資の審査に通りづらかったりと何かとデメリットも出てくると、噂も含めて色々いわれています。

そんな個人事業主が金融機関に融資してもらうときには「返済能力の有無」を判断するためにも、収入証明を求められる機会が多いです。
個人事業主の収入証明には何が使えるのか、今回の記事ではその点に視点を当ててご紹介します。

個人事業主に必要な収入証明と所得証明は確定申告書にすべき

個人事業主に必要な収入証明と所得証明は確定申告書にすべき

個人事業主が収入証明として提出するなら、おすすめは「確定申告書」の写しです。

確定申告書の写しは個人事業主にとって用意するのが楽な書類の部類に入ります。
収入の証明、ついでに支出の証明もできるのは書類上に情報量が多い確定申告書の強みでもあります。

個人事業主が収入証明を求められる場面といえば…

  • 事業ローン、住宅ローン、教育ローンなどの申し込み時
  • 賃貸契約をするとき(住居、オフィスなど)

会社勤めの方と違い、所属するものがない個人事業主だと「信用」を会社という存在で判断することができないので、「収入証明の提出」という形で代替する機会は多いです。この代替と付き合う場面はずっと付きまとうと考えていいでしょう。

その中でも上記の場面は収入証明が必要な場面の定番中の定番です。

個人事業主は収入証明を提出しないといけない場面が多い!?

例えば銀行や消費者金融のローンに申し込むと、通常は50万円を超える融資の際に「収入証明」を求められます。
しかし、個人事業主が銀行や消費者金融のローンに申し込むと、仮に借入希望金額が10万円だとしても「収入証明」を求められる可能性があります。

理由は先ほども触れた通り、会社勤めの方と同じやり方では「信用」を図ることができないからです。

個人事業主の収入証明できる書類はどれ?

個人事業主だと会社勤めのように給料明細をもらうことができないので、収入証明を提出する際の書類を別途用意しなければいけません。

個人事業主が収入証明の書類として使用できるのはこちらです。

  • 1、所得証明書
  • 2、納税証明書
  • 3、確定申告書の写し

1、 所得証明書

所得証明書

所得証明書は市役所(区役所)で発行してくれる書類で、その名の通り所得金額が記載されています。

こちらを使用する際の注意点は、確定申告後の発行になることです。
確定申告は1月1日~12月31日までの期間の収支を、2月~3月に申告するわけなので個人事業主として働き始めた時期と所得証明書が必要な時期によってはまだ取得できない可能性があります。

2、 納税証明書

納税証明書

納税証明書を使用するなら、税務署に行って取得しましょう。

納税証明書にはいくつか種類があります。
収入証明として使いたいなら、税務署の窓口でそのように使用意図を伝えましょう。

収入証明に使える所得金額が記載された納税証明書を用意してくれます。

納税証明書の注意点は納税していなければ発行できないことです。未納の税金があってもNGです。納税証明書を所得証明書として使用するなら必ず税金を全額支払いましょう。

3、 確定申告書の写し

確定申告書の写し

確定申告書の写しは収入証明として使用できる書類としては一番手軽感があります。
確定申告書のやり方は人それぞれで、税理士に任せるという方もいれば会計ソフトなどを使用して自分でパソコンで作成するという方もいれば、手書きで作成するという方もいます。

どの方法でも原本は自分の手元にあるので(確定申告しているなら提出に合わせて作成したものは手元にあるはず)写しを用意するのは簡単です。
市役所(区役所)や税務署に取りに行くよりずっと簡単。取得の手数料もかかりません。

それでいて、確定申告書のいいところは所得と収支の内訳まで記載されていることです。

確定申告書に記載されている内容なら経営状況が確認できます。

例えば個人事業主だと経費などの出費の増大により一時的に赤字になるケースがありますが、確定申告書なら収支の内容を確認したうえで総合判断できるので、融資の審査にも影響を出しづらくなります。

ただ「赤字になっている」とだけ書類で見てしまうと、融資系の審査では「返済能力を不安視」される一因に繋がり不利になりやすいものの、確定申告書で内容を確認できればまた違う展開になる可能性があります。

書類を準備する楽さでいえば確定申告書の写し>所得証明書>納税証明書の順番ではないでしょうか。(※個人差はあります)
理由は確定申告書の写しは自分でコピーすれば対応しやすいですが、所得証明書は市役所(区役所)に取りにいかなければいけません。

納税証明書については税務署に行けば取れるので一見手間は所得証明書と同じイメージですが、税金の支払い後に取りにいかなければいけないという、注意したい条件があります。

どうして確定申告書が収入証明に便利なのか

個人事業主の収入証明は確定申告書の写しが最も便利といえるのではないでしょうか。

それでは続いては、確定申告書の写しの便利さについて改めて確認していきます。

1、 印刷して提出すればいいから(取得不要)

まずは確定申告書は、自分(人によっては税理士)が作成するので自分の手元にあるものです。
所得証明書や納税証明書と違い市役所(区役所)や税務署にわざわざ取りに行く必要はありません。

また、所得証明書や納税証明書は取るのに手数料がかかりますが、確定申告書はコピーするだけでいいのでコピー代しかかかりません。
準備にあたり必要になる費用面でみても、個人事業主には確定申告書の写しが最も適しているといえるのではないでしょうか。

2、 収入の詳細を確認できるから

確定申告書の写しは収入の詳細を確認することができます。
年間の売り上げ、収入、そして経費などの出費。全て確認することができます。

個人事業主が収入証明をしなければいけない場面の代表的なものといえば、賃貸やオフィス契約の際や事業関連のお金を融資してもらいたいとき。

個人事業主は会社員と違って家賃が安くても融資希望金額が低くても収入証明を求められる機会が多いです。
収入証明を求められるたびに所得証明書や納税証明書を取りに行っていたら手間になります。
確定申告書の写しがあれば、それが一番手間がかからず経費(手数料)も抑えることができます。

3、 あえて赤字にしていても融資対象になる可能性があるから

あえて赤字にしていても融資対象になる可能性があるから

一般的な考え方では赤字は、収支のバランスが保てなかったという残念なことです。
しかし個人事業主の場合はこの限りではありません。

個人事業主は、経費で業務上必要な様々なものを購入して赤字になってしまっただけという場合もあれば、売り上げの問題という場合もあります。
どのような理由で収支のバランスがそうなっているのかを判断するためにも、確定申告書はとてもいい資料(わかりやすい資料)です。

仮に赤字で確定申告書が完成していたとしても収支のバランスを見て「融資の審査」に通る可能性があります。
「赤字」という数字だけで見たら融資の審査で不利になる状況でも、収支のバランスを見ることにより「融資の審査」に通る可能性が出てくるのが、確定申告書の魅力です。

【確定申告書のいいところ】

  • 収支のバランスが一目でわかる
  • 確定申告書で詳細が分かれば赤字だとしても融資の審査で不利にならない可能性がある
  • 提出する用の写しの準備が楽(いちいち取りに行く手間や手数料が不要)

確定申告書は個人事業主の経営状況・経済状況が一目瞭然になる

確定申告書は個人事業主の経営状況・経済状況が一目瞭然になる

確定申告書は個人事業主の経営状況・経済状況が一目瞭然になる書類なので、個人事業主として働いていく限り長い付き合いになる可能性があります。

個人事業主の必須書類の1つといえるかもしれません。

見方を変えると、個人事業主になった後、毎年必ず確定申告をしないと書類が必要な場面で不利になってしまう可能性が出てきます。

個人事業主の中には確定申告をしないという方もいるようです。
年間収入の金額によっては申告する額ではないというケースもありますが、通常は個人事業主になった年から確定申告をしていかなければいけません。

確定申告しなければ収入証明ができません。
所得証明書はもちろん、納税などもしていないことになるので納税証明書も取れません。

そうなると何が困るかというと、銀行や消費者金融のカードローンに申し込んでも審査してもらうことができず。さらに賃貸物件(住居用でも)を借りるときに「個人事業主は収入証明をしてください」といわれた場合に証明することができないことから、賃貸物件に契約できなくなるかもしれません。

このようなリスクを避けるために、前提として駆け出しの個人事業主だとしても、とりあえず毎年確定申告はしていつでも確定申告書の写しを使用できる状況にしておきましょう。
個人事業主として活動するための必須項目です。

個人事業主はお金を借りられないは嘘?

個人事業主はお金を借りられないは嘘?

個人事業主にまつわる噂としてよく挙がることといえば…。

①個人事業主は融資の審査に通らない
②個人事業主は賃貸契約が難しい(大家が個人事業主には貸したがらない)

という内容ではないでしょうか。

②の賃貸契約については…残念ながら実際、あるようです。
そこそこ稼いでいる個人事業主の方でも「賃貸物件の契約ができなかった」「大家側から断られた」という方はいるようです。
理由は個人事業主は最近こそ注目されて肯定されていますが、世代によっては会社員こそが安心という考え方がまだ根付いているからです。

また、個人事業主はいつ経済状況が変わるかもわからないので大家側としたら、個人事業主というだけで避けたがるケースはあるようです。これは大家さんにもよります。
個人事業主でも、収入が低くても、ほぼ審査なしで貸す大家さんもいるので、あくまでも参考までにご確認ください。

①の融資については、個人事業主が使用できる事業ローンを取り扱っている銀行や消費者金融はあるので、個人事業主だから融資をしてもらいづらいというわけではありませんが、審査次第です。
これは会社員であっても企業の社長であっても同じです。

審査によって肩書が何であれ通らないこともあれば、通ることもあります。

このような特徴を持つことから「個人事業主かどうか」ではなく、確定申告書で確認できる収支の状況や内容のほうが大切になります。

賃貸物件については大家さんの考え方や個人事業主への考え方で左右されますが、銀行や消費者金融という金融機関の融資については個人事業主だからどうということではなく収支の状況や内容で判断されます。

個人事業主が融資して欲しいなら利用したいのはこちら

個人事業主が融資して欲しいなら利用したいのはこちら

個人事業主が融資して欲しいなら利用したい融資制度・サービスはこちらです。

  • 銀行の融資
  • 日本政策金融公庫
  • 消費者金融の融資

消費者金融を例に挙げると、例えば「アイフル」は「事業サポートプラン(個人プラン)」と「事業サポートプラン(法人プラン)」という事業性ローンがあります。

このうち個人プランのほうが個人事業主でも利用できる融資商品です。

事業性ローンなので、事業のために利用できます。
個人事業主は原則として保証人も担保も不要で利用でき、実質年率は3.0%~18.0%
上限金額は500万円(※審査による)です。

消費者金融といえば資金使途自由のカードローンのイメージが定着していますが、アイフルのように個人事業主が事業性ローンで利用できるところもあるので、個人事業主の方は注目してみてはいかがでしょうか。

ちなみにアイフルで事業サポートプラン(個人プラン)に申し込むなら確定申告書を提出しなければなりません。(必要書類として指定されています)

1、 銀行の融資(事業・フリーローン含む)

1、 銀行の融資(事業・フリーローン含む)

銀行も個人への融資を行っています。

事業性ローンもあれば、フリーローンもありますが、事業のために融資して欲しいなら事業性ローンを選ぶのが基本になります。
詳しいことは銀行側に相談しましょう。

銀行のローンでは連帯保証人や担保が必要になる商品もあるので、自分の状況に適した融資商品を知りたいときは銀行に直接相談に行ってみるのがおすすめです。

銀行の融資商品は一般的に低金利になりやすく金利の面でお得だといわれています。
個人事業主はもちろん、それ以外の立場でも注目はしたいところです。

2、 日本政策金融公庫

2、 日本政策金融公庫

日本政策金融公庫はあまり馴染みがないという方もいるかもしれませんが、有名な融資商品は国の教育ローンです。
公的な融資制度なので低金利に期待できます。

こちらは個人事業主であっても今後起業したい方や、起業したけど個人事業主として仕事を受注して基盤を作っている状況という方におすすめの融資制度です。

日本政策金融公庫で取り扱っている融資制度は豊富です。
その中で注目したい2つの融資制度についてピックアップしてご紹介します。

新事業育成資金⇒ 新規性、成長性のある事業を始めておおむね5年以内の方など
女性、若者/シニア起業家支援資金⇒ 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方

このように公的な融資制度でも、起業する予定の方や起業している方を含めた商品の取り扱いはあるので、どこで借りるか迷ったときには日本政策金融公庫も候補と考えるのはいかがでしょうか。

消費者金融のカードローンを事業資金にすることはできる?

消費者金融のカードローンを事業資金にすることはできる?

消費者金融のカードローンは、アイフルのように事業性ローンとして融資商品を用意していればそちらに申し込むことで事業性の資金として使用することができます。

しかし通常の資金使途自由のカードローンは、事業のためのお金としては使用できないと規定されているところが多いです。
事業のためのお金を融資してもらいたいときには、専用の融資商品に申し込みましょう。
個人事業主だと不利になるというわけではなく、確定申告書の写しを提出することで書類も含めて審査になります。

どの融資商品がいいのか迷ったときは気になる消費者金融に電話して相談してみると、親身になってくれます。

まとめ:個人事業主の収入証明は確定申告書がおすすめ

今回の記事では個人事業主の収入証明をテーマにご紹介しました。
個人事業主が収入証明に使用できる書類はいくつかありますが、その中でも簡単に用意しやすいのが確定申告書の写しです。
毎年確定申告をしている方なら、写しは簡単に用意できます。

また、確定申告書の写しなら準備にあたり手数料がかからないのもいいとこですよね。

個人事業主は会社勤めの方よりも何かと収入証明を求められる機会が多くなりやすいです。しっかり準備してスムーズに手続きを行いましょう。

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