株式投資と同じように、マンションも売るタイミングが大切。タイミングによっては売却価格に数百万円もの差が生じることだって決して珍しいことではありません。
マンションを売却するタイミングをいかにして見極めたらよいか。今回は、そこに焦点を当ててお話ししようと思います。マンションの売却を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
1マンションが一番高く売れる時期はいつ?
一般的に高値でマンションが売れやすいのは、世間のマンション相場が上昇しているとき。
つまり、周りのマンションが高値で取引されているときは、自分のマンションにも高値での買い手が付きやすいということになります。では、どうしたらそのような状態になるのでしょう。
マンション相場が上昇するための条件として、マンション需要が高まることが必要になります。
例えば、新線が開通して新駅が開業するような場合は、開業予定の駅周辺のマンション需要は高まり、それに伴ってマンションの取引価格も上昇します。
また、東京では2020年の東京オリンピックに向けて、街の開発やインフラ整備が盛んに行われています。東京オリンピックを見に行きたい人もいるでしょうし、ますます便利になる東京に住みたいという人もいることでしょう。東京ではそのような人たちからのマンション需要の増加をひとつの要因として、マンション価格の上昇が続いています。
しかし、これらの要因は一時的な需要。つまり特需に過ぎません。キャピタルゲインを狙った不動産投資では、このような流れに乗ることも大切ですが、そのような地域以外にマンションを所有する人は、どのようなタイミングでマンションを売るべきなのでしょう。
実は、マンション相場は為替相場にも影響を受けます。
結果からお話しすると、円安局面に入ると、マンション相場は上昇するといわれています。それはどうしてかというと、円安になると多くの外国人が日本の不動産に投資しようと考えるためです。
円安になると円の価値は下落し、ドルを始めとした外国通貨の価値が上昇します。
民主党(当時)野田政権から自民党安倍政権への政権交代が実現した際、1ドルは80円程度でした。その後1ドル120円程度まで円安が進んだ時のことを思い出してください。100万ドルでは政権交代時に8,000万円のマンションしか買えませんでしたが、1ドル120円になると同じ100万ドルで1億2,000万円のマンションが買えるわけです。
つまり、円安になると日本の不動産は外国人にとって割安となり、多くの外国人が日本のマンションの購入を検討することになるのです。
2マンションを売らない方がいい時期
今度は、逆にマンションを売らない方がよい時期について考えてみることにしましょう。マンション相場がいかに堅調に推移していても、一定期間売却を見合わせるようなケースも考えられます。それは一体なぜなのか?これから考えてみましょう。
・マンションを売らない方がいい理由
円安局面では不動産市場に外貨が流入しやすい状態になることをご説明しましたが、その反対に円高局面になると、外国人にとって日本の不動産は割高になってしまいます。
そのため、日本不動産に対する外国人からの需要は減少することになり、マンション相場も下落傾向となります。
その一方で、円高局面では日本人にとって外国不動産を割安な価格で購入するチャンスですので、外国の不動産市場に目を向ける日本人も増えることに。そうなると国内マンションの需要はさらに低調となり、相場はより一層低迷することになります。そのようなタイミングでマンションを売却するのは賢明ではありません。
また、マンションの売却をためらうことには税金が関係してくることもあります。
譲渡所得税という税金をご存知でしょうか。譲渡所得税とは、不動産を売却して得られた所得に対して課税される税金のことです。
譲渡所得税には、短期譲渡所得と長期譲渡所得の2種類があり、短期譲渡所得税の税率は約39%、長期譲渡所得税の税率は約39%です。
短期と長期とで、実に20%もの違いがあるため、税率のことだけを考えると長期での売却の方が得ということになります。そのため、長期の条件を満たさないマンションを売る場合は、条件を満たすまで待つ人も多いのです。短期と長期の期間について簡単に説明すると、購入して5年未満で売却した不動産には短期譲渡所得税、5年以上で譲渡した不動産には長期譲渡所得税の税率が課せられることになります。
ただし、実際の期間の計算方法は、もう少し複雑になります。
皆さん、マイホーム特例というものを聞いたことがありませんか。
自宅マンションなど居住用の不動産には、特例で3,000万円まで譲渡所得税の控除が認められるというものです。通常、自宅マンションを売却して3,000万円もの所得が得られることは考えにくいため、自宅マンションの売却の場合は、譲渡所得税について考える必要はないでしょう。
よって、譲渡所得税の税率を気にして売却のタイミング遅らせる必要もありません。
この特例は、現在住んでいる家だけでなく、空き家であっても過去に住んでいた家であれば適用が認められます。そのためには要件を満たす必要があるので注意しましょう。
住まなくなった日から3年目が経過する年、つまり住まなくなって丸4年を迎えた年の12月31日までに売却する必要があります。
3逆に売れる時期はいつ?
ご説明したように、売りに出されているマンションが少ないにも関わらず、マンションを買いたいと思う人が多いとき、つまり需要が供給を上回るときは、マンションは売れやすい状態であるといえます。
また、そのような状態では高値で売れる可能性も高くなります。しかし、そのような一過性の現象を予測したりタイミングを見計らったりすることは、非常に難しいものです。そこでこれらの現象を表す指標をご紹介しましょう。
それは「景気」と「金利」です。景気が良いときは不動産や自動車といった高額な商品の売れ行きが好調になります。
そして、そのような高額な商品を購入するために、多くの人がローンを利用します。
そしてローンの金利が低ければ、それがマンション購入意欲に拍車をかけるという仕組みが成り立つのです。多くの場合、景気と金利は反比例し、景気が良ければ金利は上昇し景気が悪ければ金利は低下します。
好景気で低金利の状態になることはまず考えられません。そのためマンションの売却を検討する際は、これらの指標だけに頼るのではなく、為替や社会動向なども含めて総合的に検討する必要がありそうです。
4マンションを売るのに適切な季節
1年を通して行われている不動産取引ですが、1年の中にも取引量が増える季節と減る季節があることをご存知でしょうか。子供が幼稚園や小中学校に入学するタイミングに合わせて引越しを考える人が多くなる1月から4月にかけてと、年内に入居して新年は新居で迎えたいと考える人が増える10月から12月にかけての季節は、不動産の取引量が増えるためマンションも売りやすくなるといわれています。とはいえ、それらの季節はライバル物件も市場に多く出回ることになります。
春や秋の引越しシーズンを待って売ったからといって必ず高値で売れるかというと、そう単純なものでもないようです。
また、買い手目線で考えると長期間市場に出ている物件は敬遠される傾向にあるため、なるべく短期間で買い手を見つけたいものです。そう考えると、売れるようであれば季節を問わず売ってしまうというのが基本ではないでしょうか。
取引が活発に行われる春と秋新規物件として扱われるよう、売出しのタイミングを工夫したり不動産会社を変えてみたりすることは有効だと考えられます。
5売り値が低ければ値が上がるのを待った方がいい?
一般的にマンションの売却には、成約までに3ヶ月以上の時間的余裕をもって臨むことが推奨されます。このように時間に余裕を持つことは、マンションの売却においては重要なポイントになりますが、それはどうしてだと思いますか?
不動産を相続したケースを例に説明いたしましょう。
相続財産は不動産のみ。現金はほとんど相続していないケースを考えてみましょう。
基礎控除額を超える相続財産には相応の相続税が課せられますので、被相続人(亡くなった人)が遺した多額の財産の相続人(相続する人)は相続税を支払う必要があります。
ところが、相続財産に現金はありません。相続税をどうやって支払えばよいのか?相続した不動産を売却して現金に換え、その現金を相続税の支払いに充てるしか方法はありませんよね。
相続税は一定期間内に納める必要があるため、早急に不動産を売却しなければなりません。そのためには、相場より多少安くても販売価格を下げてでも売却しようとするのです。
そして、相続で売り急いでいるという情報を仕入れた買い手がいたとしたらどうでしょう?買い手の立場からすると、なるべく安い値段で取引したいものです。そんな買い手が売り手の足元を見て、さらなる安値での取引を求めてくることも考えられます。
そして現金を必要としている売り手には、その取引に応じないという選択肢は残されていません。そのような状態では、通常の取引では考えられないような低い値段でも、売り手は取引に応じざるを得ないことになります。時間に余裕がないと、この例と似たような目に遭いかねません。
マンションを売却する際は、待つことができる余裕を持つことが必要です。
値下げ交渉が入って、それがどうしても自分が納得できない価格であれば、将来のお客さんを待つべきでしょう。景気などに影響されてマンション相場が低調なときも、資産価値の落ちにくい都心のマンションなどであれば、時期が来るまで待つのも選択肢のひとつでしょう。
このように時間的余裕は、選択肢に幅を持たせてくれます。
ただ、不動産の資産価値は年を経るごとに減少していきます。そして実際の取引価格も下がっていくものです。そのような要素も含めて、多少安くても今売ってしまうべきか、それとももう少し待つべきか、広い視野を持って検討することが必要といえそうです
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